「2009年新春講演会」開催(名古屋) 講師に水野和夫氏

「2009年 経済・金融展望」

 2009年1月19日、新春の集いの第一部として、名古屋で初めての新春講演会が開催された。講師には地元出身の水野和彦氏をお招きした。

 水野氏は「昨年末以降、100年に一度の金融危機が到来していると言われていますが、すでに金融危機から経済危機へと移行しており、1930年代とほぼ同じテンポで状況は悪化しています」とし、「アメリカの家計は、住宅ローンなどの借金を返済しているため、消費できない状況にあり、かなりの努力をもってしてもローンの返済には5年はかかると考えられるため、アメリカの景気が回復するのには5年以上の時間がかかると考えられます。そのため、日本の景気回復にはそれ以上の時間がかかるでしょう」と一部の楽観論を戒め、今回の経済危機の深刻さが率直に語られている。

 折から名古屋では年末以来のトヨタ・ショックに見舞われているが、企業経営者にとって正念場の年になりそうである。

水野 和夫(みずの かずお)

三菱UFJ証券チーフエコノミスト

1953年生まれ。1977年早稲田大学政治経済学部卒業。1980年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。八千代証券(国際証券、三菱証券を経て、現 三菱UFJ証券)に入社。1998年金融市場調査部長、2000年執行役員、2002年理事・チーフエコノミスト、2005年より現職。『虚構の景気回復』(中央公論新社)、『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(日本経済新聞出版社)、『金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉』(日本放送出版協会)など著書多数。