平成24年度税制改正の勉強会 開催

講師に尾立源幸参議院議員(参議院財政金融委員長)

 2012年11月7日大阪にて、ティグレフォーラム主催による「平成24年度税制改正について~税制改正の方向性と中小企業対策」勉強会がおだち源幸参議院議員を講師に開催された。以下はの講演録の一部である。

民主党の基本的考え

 中小企業についてはかなり重要視しています。2009年の民主党の政策インデックスにも明記(※1)されています。なんといっても我が国の力の源だということで、中小企業支援税制はしっかりやっていこうということになっています。

 例えば、評判の悪かった「一人オーナー会社の役員給与の損金不算入」の話、皆さんがこれで苦労されたと思います。中小企業イジメとも言われていました。役員に払った給与が一部損金にならないというとんでもない法律がいきなりでき上がった訳ですが、民主党政権になって、即座(昨年の税制改正)に廃止致しました。

※1「中小企業はわが国経済の基盤であり、地域経済の柱であり、雇用の大半を支える存在です。このような観点から税制により、中小企業の規模に応じて、その活性化や競争力の向上を支援することは必要です」(2009政策インデックス)

中小法人の軽減税率の引き下げ

 今年については法人税率の引き下げを入れています。どのぐらいの引き下げかと言いますと、800万(所得)以下の中小企業はずっと22%で来ました。民主党が野党時代に参議院で逆転した時に、中小企業の税率を引き下げる法案を出しました。それで平成21年に18%まで下がりました。

 今回の改正ではさらに15%を提案しています。まだどうなるかわかりませんが、その方向で行くと思います」[図1参照](11月30日に法案成立)

初めての国税通則法の改正

 もう一つは国税通則法の改正です。昭和37年(1962年)制定以来の改正です。49年ぶりです。国税庁はこの改正をあまり望んでいませんでした。民主党は納税者の権利について野党時代からずっと追い求めてきていますし、実務をされている方々からの要望でもありましたので、改正に取り組みました。

 ようやく23年の税制改正に盛り込むことができました。しかし他の政党には、納税者に権利などない、義務だけだと言われる方もおられます。一歩前に進むために原案を少し変更しています。税務調査において、調査の事前通知が従来は通達レベルだったものを、きちんと法令化しまました。この事前通知については、当初案では、税務署に書面での通知を義務化しましたが、野党との調整の結果、書面での通知は義務ではなくなりました。

 あと大きいのは、更正の請求期間の延長です。今までは申告者からの請求は1年でしたが、これを5年に延長することになりました。また、税務処分の場合、今までは書面での理由の通知はありませんでしたが、これからは書面で明記することになりました。ただ個人の方の白色申告について記帳が義務化されるため、この点は少し強化になります。この場合も処分理由は書面で通知されます。

納税者権利憲章の制定が見送りに

 もめたのが納税者権利憲章の制定です。野党の反対にあい、今回は見送りとなりました。ただ、これは納税者の権利に関わることなので、付帯決議(※2)で芽をしっかり残しています。

※2「政府は、国税に関する納税者の利益の保護に資するとともに、税務行政の適正かつ円滑な運営を確保する観点から、納税環境の整備に向け、引き続き検討を行うものとする」

 勉強会では、「中小企業投資促進税制」「事業承継税制」「少額減価償却資産の損金算入の特例」「交際費課税の特例」等の24年度改正要望ならびに、現在進められている「社会保障と税制の一体改革」と「東日本大震災の第三次補正」の進捗状況が報告された。