2024年度 中小企業・小規模事業者の存続と発展を目指して 「国への要望書」

2024年07月01日 ティグレ連合会

目次

Ⅰ.はじめに

 ティグレは、中小企業・小規模事業者(フリーランスを含む以降、小規模事業者等)とそこで働く従業員、家族の「いのちとくらしをまもる」を理念とし、日々活動しています。

 平和・人権・福祉・環境を大切にした真に豊かで活力のある社会の実現に寄与することを目的に1973年に創立した様々な業種の事業者が集う全国約3万者の組織です。

 2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月に始まったハマスによるイスラエルへの攻撃とイスラエル軍によるガザ地区への侵攻と武力衝突は未だ終息の気配が見えません。政府は各地での紛争を傍観するのではなく、平和と民主主義を目指すリーダーとして外交努力を行うことを強く求めます。国内では、1月1日に発生した能登半島地震により奥能登を中心に多くの人々が被災しました。半年を過ぎようとする今もライフライン復旧の遅れは地域の復興を難しくするばかりです。先日、被災地を訪問し現地の方々の話を聞くと今、望まれていることに対する支援はなく、予算だけは潤沢に組まれているようです。地元自治体、被災住民が求める支援には全くなっていないとのことでした。無計画な税金の投入はもちろん反対するところですが、現地へ足を運んでいただき生の声を聞き今、困っていることへの対応をお願いいたします。このままでは過疎化、高齢化も相まって地域の息の根が止められてしまうように感じました。

 また、ここ数年で消費税の増税をはじめとして事業者の義務の負担は激増しています。このままでは国は衰退していく一方ではないかと危惧しています。2014年6月27日に成立した小規模企業振興基本法には、日本経済の成長と発展には小規模事業者等の成長と継続は欠かせない旨書かれております。また、政府と納税者の双方が信頼しあう関係の構築が最重要であり、協力関係の構築こそが一番の早道だと考えます。そのためには納税者主権を確立し、国民一人ひとりが日本の進むべき方向に関心と責任を持ちともに協力していくことでしかかなわないのだと思います。

 責任を果たす善良な納税者、信頼される真摯な政府を構築するため納税者主権の確立、つまり、納税者権利憲章の制定を求めます。

 最後になりますが、急速に進むデジタル化についていけない人々を取り残さないことを強く求めます。

Ⅱ.申告納税制度に関する要望

1.納税者権利憲章の制定を求めます。
 令和4年度税制改正において納税者の義務が法律に明記されました。そもそも納税者の権利についての明文規定がない中、納税者の義務だけが明記されることは納税者の権利が認められているとは言い難いと考えます。いち早く納税者権利憲章を制定し主権者としての立場を明確にすべきと考えます。
 わが国の申告納税制度は、納税者が税法に基づいて自分で税額を算出した申告書を税務署に提出することで納税義務を確定させることであり、税務行政の適正な執行とともに納税者の協力が不可欠です。そのためには「納税者の権利」が法律によって保障されていることが前提で税務行政が行われなければなりません。主権者たる納税者の権利保障と税務行政の適正な執行のために「納税者権利憲章」の早急な制定を求めます。
 その制定においては納税者の権利を守るために次の3点を盛り込むことを強く求めます。
1)主権者たる納税者を善良なる者として取り扱われるものであること
2)納税者が自己について国が保有している情報の開示を求める権利があること
3)独立した第三者機関での公正な権利救済がなされること
 (国税不服審判所が設置されているが、大多数は国税職員が占めており独立した第三者機関とは言い難いこと)

2.災害関連条文の整備を求めます。
 自然災害の多い日本列島では阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、広島豪雨災害、球磨川流域豪雨水害など、毎年のように大規模な自然災害が発生しています。
 今年の1月1日には「令和6年能登半島地震」が発生し、多くの人々が被災・避難していることから、申告や納付等の期限を延長、所得税法の雑損控除や災害減免法の税金軽減免除規定を「災害発生の前年である令和5年分においても認める」措置がとられました。この措置は、災害発生の都度、国会審議を経て特別立法で施行されています。所得税法第72条の雑損控除には「災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合において、その年における当該損失の金額…を、その年分の総所得金額…から控除する。(一部文章省略)」と規定されており、災害の発生年において控除することとなっていることから、災害が発生する度に特別立法とする手法がとられています。
 この雑損控除や災害減免法は、災害等発生の年の税額を減免するものですが、今回の様にその年の前半に災害が発生すると、居住者の方が亡くなる場合や取引先・勤務先の事業継続が困難になり、その年の所得が発生しない場合や減少に伴い、税額も発生しない場合や減少することとなり、この規定による救済の趣旨が大きく減少することとなります。したがって、所得税法第72条第1項本文に「ただし、その災害が法定申告期限までに発生し、激甚災害に指定された場合には、その災害が発生した前年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除できることとする」を加えることで、少なくとも法定申告期限までに発生した自然災害については、雑損控除の救済の趣旨が生かされるものと考えます。
 さらに被災地域に限定して、市民生活・事業活動をすれば原則課税される消費税を一定期間免除することを求めます。現状の消費税率10%と8%の取引を「課税0%」に一定期間変更し、被災地域復興の起爆剤の役割を果たすと考えます。また、今後発生した激甚災害地域でも適用されるような法整備を求めます。

3.消費税の軽減税率を廃止し税率を5%にすることを求めます。
 事務負担が多大な軽減税率を廃止し、単一税率に戻し負担を軽減させることは税の簡素化と徴収コストの低減にも寄与すると考えます。また当面の間、消費税率を5%に戻すことを求めます。
 国税庁が発表した2022年度末の国税滞納残高(8,949億円)のうち実に38%が消費税の滞納(3,409億円)となっています。消費税の滞納残高には年率9%近くの延滞税が課され、税金債務が増えていく状況です。つまり、納税負担が厳しい税金なのです。また、これらの滞納税額があると銀行からの融資は困難となり、事業継続に大きな支障となります。さらに令和4年8月5日発表の「納税の猶予制度の特例」の適用後の状況によると特例猶予の適用額1,517,647百万円に対し完結された額は1,378,766百万円(90.8%)であり、残りの138,881百万円は既存の猶予制度の適用を受けたり、納税について相談中であります。この既存制度適用・納税相談中の額のうち「消費税及び地方消費税」が占める額は(105,670百万円76.0%)であります。消費税は3%から段階的に引き上げられ10%となりました。消費税率が高くなればなるほど、経営難に苦しむ課税事業者は納税が困難となり、経営にさらなる悪影響を及ぼしています。
 不足財源は、法人税・所得税の税率改定等と無駄な財政支出の削減で対応すべきだと考えます。企業は内部留保金をため込み、高額所得者は様々な税制上の恩恵を受けているのが現状です。今、中小企業・小規模事業者は円安等による物価の高騰で事業活動や生活が困窮していくばかりです。事業での利益率が低い事業者にとって税率10%の消費税は非常に重たいものになっています。税の再配分を法人税や所得税で行うことによって社会の相互扶助を実現できるような税制を求めます。

4.インボイス制度の凍結・廃止を求めます。
 中小企業・小規模事業者の中には取引先や消費者との関係に配慮が欠かせず消費税を正しく転嫁できない状況があります。現に、免税事業者が取引から値引きを求められたり、排除されるような事態が起こっています。確かに請求書等の書類上は、消費税を受け取っているようになっていますが、実際はその分の本体価格を減額され税込みの総額は変わらない状況がまだまだあります。加えて円安やウクライナ戦争をはじめとする海外での紛争等の影響による物価高が、経済活動をより困難にしている現状においては、インボイス制度の凍結を強く求めます。
 適格請求書は課税事業者しか発行できないため、建設業や鉄工所などのいわゆる一人親方、近年増加したフリーランスなどの免税事業者は、インボイス制度のもと、課税事業者となって消費税を納めるか、あるいは商品やサービスの価格を消費税分下げなければ取引ができなくなったりしています。このことは経済的にも事務的にも負担を強いることになるのは必至で、小規模事業者にとっては事業継続の瀬戸際に追い込まれるケースが出てきているということです。そもそも国内で事業者が行う取引は、課税事業者であろうと免税事業者であろうと原則消費税を含めた金額で取引しています。
 税制改革法 10条2項には、消費税の「本質的な課税標準」はあくまで「課税売上額から課税仕入額を差し引いた金額」(付加価値額)であるとしています。これは仕入税額控除をしなければならないと規定しているのです。であるにもかかわらずインボイス登録事業者でない者との取引は仕入税額控除できないのはおかしいと考えます。これらを踏まえインボイス制度の廃止を求めます。

 消費税は導入以来、小規模事業者の納税事務の負担と納税の支払能力に配慮してきました(免税点制度・簡易課税制度など)。しかしインボイス制度はこの納税事務負担の配慮を軽視したものであり、さらに制度導入による取引先との交渉・確認など精神的負担や事業継続の可否を検討しなければならない苦悩など事業者に与える負の影響が多すぎます。

 中小企業・小規模事業者にも、商法で会計帳簿作成義務が課されています。法人税・所得税の計算においても、会計帳簿を基に計算された利益を用いており、消費税の計算においても、会計帳簿作成時に課税区分を入力することにより行われています。一方で、会計帳簿の本来の意義は、中小企業、小規模事業者においては、管理会計であり、経営にしっかり役立てるということです。
 しかしながらインボイス制度の導入は帳簿作成を非常に煩雑にし、会計帳簿作成に大きな負担を与え、帳簿作成の意義を損なわせる制度と言えます。
 各事業者の事務処理負担はかなり増加していると思われており、令和5年9月のインボイス制度導入前ごろ、民間会社のある試算が公表されました。内容は各事業者の業務負担が増加、特に経理担当人件費負担増加する。消費税増収「年間2,480億円」に対し「制度対応にかかる人件費:月額3,413億円」との試算結果でした。これだけのコスト負担を各事業者に負担させているとすれば、中小零細事業者の経営状況はますます苦しくなるばかりであり、即刻制度を凍結・廃止するよう求めます。凍結・廃止までの期間は、経過措置としての「みなし仕入れ(80%)」の恒久的措置や「2割特例」と「少額特例」の恒久化など早急に検討し実施することを求めます。さらに先ほど触れた制度対応にかかる人件費などのコスト負担分については給付等支援に実施を求めます。

5.定額減税による事務負担増加に対する支援を求めます。
 定額減税事務対応もまさに従業員を雇用している事業者にとって振ってわいたような事務負担です。月次減税対象者と年末調整・所得税申告の扶養控除対象者が一致しておらず、その調整事務を定額減税に伴う年調減税処理を行う源泉徴収義務者の事務負担としています。また給与収入が2,000万円超の方は結果定額減税ができないのに月次減税を勤務先が行い確定申告で再調整を行うことが求められています。このような手間を小規模事業者や確定申告する人々に負担させるのはおかしいと思います。しかしながら既に事務処理はスタートしているため制度改正は間に合いません。そこで年末調整時期までに以下の支援の実施を求めます。
 事務コスト負担への給付金支給もしくは雇用調整助成金申請において社会保険労務士に申請代理を委託した経費について自治体によっては金額補助を行った例に倣い定額減税事務を税理士に委託した場合の経費の補助を求めます。

6.記帳義務を適正に履行できない納税者等への対応策を求めます。
 令和4年度税制改正で所得税及び法人税の税務調査において、証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者などへの対応策として、必要経費不算入・損金不算入の措置が講じられましたが、この改正の運用においては各事業者の経営環境を踏まえた柔軟な対応を求めます。

7.所得税の所得再分配機能を強化させる税制を求めます。
 消費税が租税収入の中心となり、法人税が企業の国際競争力からすると課税強化ができないと言われています。このような税収のバランス構造でいくと格差社会はさらに進行していくことが容易に想定できます。所得税を課税強化してもわずかだと言われますが、日本に住む大半の納税者が納得できる税のあり方のためにも所得税の所得再分配機能は必要だと思います。よって以下の4点について要望いたします。
1)累進課税を強化すること
2)分離課税制度を廃止し総合課税へ一本化すること
3)居住用財産など生活関連資産の譲渡等への柔軟な対応を行うこと
4)人的控除の拡大により課税最低限を引上げること

8.年末調整制度の廃止と全員確定申告制度の導入を求めます。
 年末調整制度は、事業者が従業員の納税について計算や納税作業を代行して行うため給与所得者は税制度への関心や理解が薄くなりがちです。納税者が、自らの納税について理解することは不可欠です。令和4年度の徴税コストは100円当たり1.07円ということです。源泉徴収による年末調整制度が徴税に大きく貢献してきたことは理解しますが、小規模事業者等にとって年末調整の事務負担は小さなものではありません。事務担当者は精度(各種所得控除の計算等)面においても精神面においても大きな負担となっており、一定の税知識のある職員が必要であり、人件費の負担増につながっています。また、担当者を雇えない場合においては、年末調整事務を税理士に手数料を支払って依頼するケースもあります。令和5年3月に発表された「令和3年度会社標本調査」によれば、資本金1,000万円以下の法人の約63%が赤字法人であり、年末調整事務に係るわずかな経費も少額とはいえない現状にあります。
 また、納税者の正しい税知識の醸成のため、主権者たる納税者が国政に関心を向けるためにも年末調整制度を廃止し全員確定申告制度の導入を求めるところですが、現状を勘案し当面、事業主が年末調整と確定申告を選択することが出来る制度の導入を求めます。また、小規模事業者等に対して年末調整制度を選択した場合には、その費用負担に見合う補助金等の支援を求めます。

9.納税環境の整備(税務調査における事前通知の改善)を求めます。
 平成23年に国税通則法が改正され、「税務調査を開始する時の手続き明確化(事前通知)」と「処分の理由附記」が義務付けされましたが、納税者への「事前通知」は口頭とされています。納税者にとって「口頭通知」は突然であり心の準備も出来ていない状況です。調査経験の有無にかかわらず、「口頭だけでの通知」だけでは十分に理解することが困難なことから「文書」での事前通知の徹底と無予告時の税務調査において「事前通知」を行わなかった理由の開示が常に行われることを求めます。

10.電子帳簿等保存制度の対応困難者への配慮を求めます。
 令和5年度税制改正において、「相当の理由があると認められる場合、その電子取引データの出力書面の提示・提出の求め及び電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、保存要件を不要として、電子取引データの保存を可能とする。」との新たな猶予措置が設けられたところです。
 しかし、小規模事業者のほとんどは経理事務担当を雇う余裕はなく、事業者本人が経理事務を含めすべての事業活動を行っています。この事業活動においては、取引先からは取引金額の圧縮を求められており、経費削減のためインターネットで安価な消耗品等の購入の努力をしてもデジタル化への対応(時間的・費用的)はおろか知識習得すら困難であり、どうにかインターネットで物を買える程度が精一杯な状況にあります。電子化の流れは国の政策であり、社会の流れであることは理解しておりますが、小規模事業者には対応困難者が多数を占めるという現実をも認識いただきたいと思います。
 また、所得税法第232条(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)においては、「…所得を生ずべき業務に係るその取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を財務省令で定める簡易な方法により記録し、かつ、当該帳簿(…又は受領した財務省令で定める書類を含む。…)を保存しなければならない。」と規定されており、財務省令である所得税法施行規則第102条第3項第2号において「…受領した請求書、納品書、送り状、領収書その他これらに類する書類」と規定されております。つまり、小規模事業者はこの規定により、限られた時間と事務量の中でこれまで精一杯記帳及び原始記録の保存に努めてきていたところであり、これ以上の負担となる電子帳簿等保存制度について、これまでどおりプリントアウトした原始記録の保存を認め事務負担軽減に配慮した施策の実施を強く求めます。

Ⅲ.労働と社会保障制度に関する要望

11.労災第2種特別加入の対象拡大と第1種特別加入との合併及び、加入団体・事務委託制度以外の簡易な加入手続き制度の創設と一人親方への報奨金制度の導入を求めます。
 労災の事業主の特別加入制度は、第1種特別加入に加入していても従業員がいなくなると第2種特別加入に変更しなければなりません。第2種特別加入に加入していても従業員を雇うと第1種特別加入に変更しなければなりません。小規模な事業主にとっては、行ったり来たりで手続きが煩雑です。
 小規模事業主は自らも危険な業務に従事していることが非常に多く、労働者に準じて労災保険により保護されるべき者がほとんどです。このため、第2種特別加入の一人親方、特定作業者の適用範囲をすべての業種に拡大し、第1種特別加入の対象となる事業主を包含した制度への一本化を求めます。つまり、従業員の有無にかかわらず一定の規模以下の事業所が加入できる「労働災害保険(仮称)」制度の創設を求めます。
 また、特別加入制度は現在、労働保険事務組合又は一人親方等の団体を通じて加入することとなっているため保険料以外にも手続きに要する費用負担が必要になります。事業主の費用負担軽減のため事業主の直接手続きでも特別加入できる制度への改正を求めるとともに第2種特別加入での労働保険事務組合への報奨金制度も求めます。

12.飲食業・宿泊業において個人事業所への従業員の厚生年金加入の義務付けや中小企業の短時間労働者への社会保険適用拡大に対して、適用の緩和と事業主負担分の保険料率軽減を求めます。
 社会保険料は労使折半であり、社会保険加入の適用範囲拡大についての配慮を求めます。とくに飲食、宿泊業については、従業員の厚生年金加入を義務付ける個人事業所の範囲を拡大する制度改正の本格検討に入り、令和7年の通常国会で必要な法改正を目指すとの発表がありました。
 また、平成28年10月から通常の労働者と比較した場合に1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数が4分の3未満の短時間労働者に対して健康保険・厚生年金被保険者に適用される制度が始まっています。これが令和4年10月以降は常時100人超となり、さらに令和6年10月以降は常時50人超の事業所まで適用範囲を拡大する予定となっています。また勤務期間の対象が1年以上使用見込みから2か月を超えての使用見込みの労働者が対象となるなど大幅な期間短縮がなされるものとなっています。
 これらの制度改正は社会保険料の負担増加により小規模事業者等の大量倒産に繋がる可能性があります。したがって改正内容の規模要件の緩和と中小企業には、適用事業所になった場合、週20時間以上30時間未満の労働者の過半数が加入に反対した時は、原則加入しないですむ制度の創設、社会保険料の事業主負担の料率引下げを求めます。あわせて大企業については、事業主負担分に加え社会保険制度全体を支える「支援金(仮称)」の創設を求めます。

13.国民健康保険料の低所得者への負担軽減を求めます。
 国民健康保険の加入者は、高齢者や自営業者、農業従事者など低所得者層が多く、低所得者に負担が大きい構造になっています。多くの自治体は保険料を「所得に対する賦課(所得割)」、「加入者一人あたりの賦課(均等割)」、「世帯あたりの賦課(平等割)」の合計としています。
 協会けんぽが被保険者数に関係なく、介護保険を合わせて約12%(半分は事業主負担)であるのに対し、年間の所得が300万円程度で、4人家族世帯の国民健康保険料が計算上所得の30%の保険料となる場合もあります。このような保険料は低所得者には負担できるものではなく、滞納を余儀なくされ国保財政を悪化させるという悪循環に陥り、市町村の財政を一層圧迫しております。抜本的には高齢者などの医療費を抑制するなどの施策が必要ですが、高所得者に対する保険料の上限額引き上げなど財政の担保を行うことにより低所得者の保険料を協会けんぽ並みの所得の12%未満に軽減されるよう制度の見直しを求めます。

14.賞与等が雇用保険料及び健康保険料の算定に含まれるのに対し、給付には反映されない根拠の説明と負担と給付とのバランスを考えた制度になるよう求めます。
 雇用保険料及び健康保険料の徴収額計算において賞与等の金額が含まれているにもかかわらず、失業等給付及び傷病手当金の給付には賞与等の金額を含めない額を計算の根拠としています。本来の「保険の原則」や保険事故に対する「生活保障という目的」から鑑みても、保険料の負担と保険金の給付バランスが著しく不合理な仕組みとなっています。このような仕組みの根拠の合理的な説明と賞与等の額を給付金額に反映させるなど制度の見直しを求めます。

15.小規模事業者等における障害者雇用率の見直しを求めます。
 現在、障害者の法定雇用率は民間企業2.5%、国・地方公共団体2.8%、都道府県等の教育委員会2.7%となっております。
 大企業に比べて中小企業は障害者採用に対応する環境整備に限界があります。大企業は障害者雇用の環境整備がより可能であり、障害者も環境整備が整っている大企業のほうがより働きやすいと思います。
 よって法定雇用率は大企業と中小企業で分けて、大企業の率を高くし、中小企業の率を低くする事を求めます。

16.労働、雇用、社会保険等が一体となった官公署を横断したプラットフォームの設置を求めます。
 2024年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が被保険者数51人以上の企業等となり、これまで対象でなかった小規模事業者等の手続きが始まるなか、2024年2月13日の年金局が実施する検討会等の第1回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会で公開された「本来は企業規模要件を撤廃し、50人以下の企業に対しても被用者である者には被用者保険を適用すべきである。したがって、今後は今回の50人超規模までの適用拡大により生じる影響の検証を行った上で、さらなる拡大をどのように進めていくかを議論すべきである。」という考え方に変更がない中、今後よりいっそう生産性向上が求められる小規模事業者等の業務負荷が高くなる状況にあります。
 一方で、2023年12月13日の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会で公開された「雇用保険部会報告(素案)」によると、週所定労働時間20時間以上雇用される労働者を適用対象としている現行の雇用保険制度について、「週所定労働時間10時間以上20時間未満」の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して2028年度中の施行が予定されています。雇用保険適用拡大の背景には、労働者の働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していること、さらに雇用のセーフティネットを拡げる観点がある一方で、新たに対象となる労働者は特に小規模事業者等の雇用する労働者の多くが加入することが想定されます。また、これまでは前記する労働者は雇用保険の適用事業場ではない場合もあり、雇用保険料の本人負担分の源泉徴収事務の実施が初めての可能性も考えられます。また、日本の労働力人口は2020年から2040年にかけて約707万人(※)減少する見込みの中で外国人による労働力に期待がかかる反面、雇用保険が未加入であっても事業者の届出義務が全ての小規模事業者等に周知しきれているとは言えない状況にあり、これらの状況に加えて雇用管理の改善や不法就労問題に対する改善が事業者に求められています。
 近い将来、これらの諸条件が重なることが現実的な状況にある中で各官公署などがそれぞれに準備したプラットフォームからの手続きを特に小規模事業者等に100%の完遂を求めることは余りにも酷であり、デジタル庁の発足がされている中、国土交通省の建設キャリアアップシステム(CCUS)などのプラットフォームを成功例として関係省庁や日本年金機構・全国健康保険協会・健康保険組合などが一致団結して「特に中小企業・小規模事業者の視点に立った施策」を強力に推進し、全ての事業者に行き届く仕組みづくりを望みます。

(※)6,902万人から6,195万人/令和5年版厚生労働白書より引用
第1回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20240131_00001.html
第189回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37216.html

17.労働保険、社会保険の保険料の算定期間を所得税の年末調整と同様に1月から12月の暦年とし、算定対象の賃金から通勤手当(所得税同一基準)を除き、統一したフォーマットで事業者の負担軽減と公平で簡素な制度にすることを求めます。
 社会保険料の定時決定(算定基礎届)は、4月から6月の報酬で保険料が決定され、その後に固定的賃金の変動があり、2等級以上の標準報酬月額の変更があった際にはその度に随時改定の届け出をしなければなりません。
 定時決定の算定期間が3か月の平均であることから公平に標準報酬月額が決定されているとは言えず、また固定的賃金や所定労働時間が変わる度に随時改定の届け出の要否を検討することは、事業主にとって煩雑な事務負担となっており、煩雑さ故にルール通りに運用できていないケースが多くあります。
 また、労働保険料は4月から翌年3月、社会保険料は4月から6月、所得税の年末調整は1月から12月とバラバラの算定期間によって、それぞれを計算することになっています。これらの計算期間の違いが、事業者にとって大きな事務負担に繋がっています。

 さらに通勤手当について、社会保険料及び労働保険料はその算定の対象賃金に含めるのに対して、源泉所得税の計算では原則非課税として給与金額に含めません。通勤手当は、厚生年金法第3条第3項の「労働の対償として受けるもの」ではないと解されます。その根拠は以下の点からも明らかです。
☆ 所得税法では実費弁済的なものであるから非課税としている
☆ 昭和27年厚生省の疑義解釈において「通勤手当は生活費の一部から報酬であると解する」としているが実費弁済とする所得税法との解釈に矛盾がある。
☆ 過去にも国会の委員会で何度も取り上げられているが、保険料収入の減少を理由に結論を出していない
☆ 出張旅費や赴任旅費、作業衣、制服等は実費弁済的なものとして報酬に含まれない
☆ 在宅勤務者が自宅勤務の日に一時的・臨時的に出社した場合の通勤費は算定対象にならない

 源泉所得税と社会保険・労働保険料の計算期間及び計算対象報酬を合せることにより事業主から統一したフォーマットの賃金報告書類の提出を受けて、国が一括して源泉所得税、社会保険・労働保険料を計算し、徴収・付加する方式に変更することを求めます。
 このことにより、雇用主および当該官庁の事務的負担を大幅に軽減することができます。早急に検討し、実施することを求めます。

18.マイナンバーによる雇用保険手続きの簡略化及びマイナポータルのサービス拡充を求めます。
 現在、雇用保険の取得時にマイナンバーの記載を求められますが、届出の氏名と住民票記載の氏名とで相違があっても修正されることなく、届出の氏名で手続きが進められていきます。また、結婚等により氏名変更があった場合は、他の雇用保険手続きと併せて氏名変更の手続きが必要となります。
 しかし、健康保険・厚生年金の手続きはマイナンバーで住民基本台帳と連携し氏名の誤りを修正されるとともに、氏名変更時にも手続きが不要です。
 雇用保険でもマイナンバーの記載を求めるのであれば、健康保険・厚生年金の様に軽微な修正、氏名変更等の手続きや、手続き時の雇用保険番号(不明の場合は前職の会社名)、取得・変更区分(新規取得、再・区分変更)の記入を不要とすることが可能ではないでしょうか。
 また、健康保険証がマイナンバーカードへと統一されていくのであれば、各種社会保険の加入状況や手続き状況をマイナポータルで確認できるようにし、病院への受診時(取得手続き中)や市区役所への国民健康保険への切り替え時(喪失手続き中)等に手続き中であっても、その旨の提示が出来る仕様であると手続きがスムーズに進むのではないでしょうか。
 よって、マイナンバーを使った雇用保険の手続きの簡略化、マイナポータルのサービス拡充を求めます。

19.労働保険事務組合に対する報奨金の上限額の撤廃を求めます。
 労働保険事務組合(以下「事務組合」という)の保険料、一般拠出金の申告・納付その他労働保険事務の適正な遂行の労に報い、もって労働保険料、一般拠出金の収納率を高く維持するために、納付状況が著しく良好な事務組合に対し、毎年1回報奨金が交付されます。これは、今後における当該事務組合の適正な事務処理を奨励するとともに、事務組合制度の普及発展と、小規模事業者への労働保険の適用を促進することを目的としています。
 また、従来、労働保険事務組合に委託できる事業所は、その事務組合の主たる事務所がある都道府県と隣接県に限られていましたが、令和2年4月1日より、この地域要件が撤廃され、全国どこでも委託できるようになりました。これに伴い、事務組合の業務処理の範囲も規模も大きくなってきています。
 この趣旨及び事務組合の規模の拡大に鑑み、報奨金の上限を1千万円としていますがその上限の撤廃を求めます。

20.介護施設・障害者施設の夜勤(宿直勤務)に関する制度改正を求めます。

< 前 提 >
 「宿直」とは、夜間に勤務先に泊まることを前提とした勤務を指します。緊急事態が発生した時の対処や、職場を定期的に巡回する時などの勤務を言います。企業は労働基準間監督署へ申請し許可を得れば労働時間、休憩、深夜の割増賃金が適用されません。しかし、要件は非常に厳しいものです。
◆「宿直」の許可を受ける要件
①常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務であること
②通常の労働の継続でないこと
③相当の睡眠設備が設置されていること
④宿直手当が支払われていること
⑤宿直が1週間に1回以内であること

< 要 望 >
 介護施設や障害施設の夜勤の業務は利用者のおむつ交換、就寝、起床、夜尿起こし、緊急時対応等のルーティン業務が発生し①には該当せずほぼ許可を受ける事が出来ません。また介護報酬も十分ではなく、宿直業務の時間(21時~翌9時)は、割増賃金はおろか最低賃金すら支払うことが出来ません。また、宿直は介護職員1名で勤務する場合が多く、少し仮眠を取ることが出来たとしても緊急時には対応しなければなりません。よって仮眠時間も待機時間=労働時間として扱われ賃金は発生します。
 具体的な要望としては介護施設・障害者施設の夜勤も労働基準法施行規則 第33条、休憩時間の「自由利用の適用除外」の対象とし、仮眠が取れる一定の夜勤時間については休憩時間として取り扱えるように要望いたします。

< 参考条文 >
労働基準法 第34条(休憩)
 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2. 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
3. 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
労働基準法施行規則 第33条
 法第34条第3項の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1. 警察官、消防吏員、常勤の消防団員及び児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
2. 乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、盲ろうあ児施設及び肢体不自由児施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
3. 前項第2号に掲げる労働者を使用する使用者は、その員数、収容する児童数及び勤務の態様について、様式第13号の5により、予め所轄労働基準監督署長の許可を受けなければならない

21.一部の届出等で使用する特殊サイズの申請様式について標準サイズへの統一を求めます。
 昨今、様々な書類の電子保存を推進しておりますが、労働保険関係成立届など一部の用紙についてはA4やB4などといった標準サイズとは別の特殊なサイズの用紙が採用されており、電子や紙媒体での保存でスキャン時やスペースの問題等で事務作業に想像以上の負担がかかってきます。また、申請書を入手するために労働基準監督署や公共職業安定所へ足を運ぶ必要もあります。標準サイズに変更することでHPからのダウンロードで入手も可能となります。gBizID を利用した電子申請も非対応の労務ソフトがあるなど普及に時間がかかる中、事業主の事務負担を極力減らすためにも行政の省力化のためにも標準サイズの様式に変更することを求めます。

22.老齢基礎年金の受給条件を満たしている60歳以上70歳未満の被保険者の厚生年金保険料の減額を求めます。
 超高齢社会が進む近年、国は高齢者でも末永く働ける環境を目指しています。そんな中、相談に来られる方の中には、老齢基礎年金を受給しているのにも関わらず厚生年金保険料が引かれることに納得のいっていない事業主や労働者が少なからずいます。
 厚生年金保険料には国民年金保険料が内包されているものと解釈しており、その場合には、現在受給されている、もしくは保険料納付期間が480か月ある場合には、厚生年金保険料の免除もしくは減額することが適切と考えます。
 現状、厚生年金保険料が引かれることを嫌がり、週の勤務を30時間未満で雇用契約を結んでいる労働者がいます。
 現在の状態では事業主や社労士が判断できず適切な案内をする事が難しいです。条件を満たした被保険者にはその時点で国民年金保険料を免除できる旨の案内を送る事により、別途申請したものに限り厚生年金保険料の免除ないし減額を適用するという方法を取ることが出来ると考えます。
 少しでも多くの方に長く働いてもらうためには、上記のようなルールも必要になってくるのではないでしょうか。

23.一般の従業員と著しく異ならない労務に従事する法人代表者等の業務上の疾病等に対する健康保険の保険給付について被保険者数によらずに対象とすることを求めます。
 平成15年7月1日の厚生労働省保険局長通知(※)(保発第0701002号)によって小規模な事業所の法人代表者等は、業務に起因して生じた傷病に関しても健康保険給付の対象とすることとなっていますが、「健康保険の被保険者が5人未満」であることが条件とされています。
 一方で、労働者災害補償保険では中小事業主等の特別加入制度に加入をする場合、労働保険事務組合に労働保険事務委託を行っていることが条件となっている上、現時点では特別加入制度そのものが広く中小事業主等に周知されているとは言い切れません。そのため、健康保険の被保険者数によって業務上の疾病等に関する保険給付の対象が異なるのは保険料負担の観点からみても不公平であり、保険適用外となった場合には、10割の医療費負担も小規模な事業所の法人代表者等にとってその影響は大きく、結果的に経済的困窮を招くことも考えられます。以上のことから、セーフティネットとしての健康保険の役割からして、この対象となる基準を、労働者災害補償保険の中小事業主の特別加入が認められる企業規模と同一とするように見直しを求めます。

(※)法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1099&dataType=1&pageNo=1
【元の文章】
「法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について」
(平成15年7月1日)
(保発第0701002号)
(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局長通知)←省略しています。

24.「キャリアアップ助成金 正社員化コース」の対象労働者の要件の見直しを求めます。
 事業所が助成金を活用するにあたり、それぞれ助成金には目的がありますが、キャリアアップ助成金などの主旨には「有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者等の企業内でのキャリアアップ(職務経験や職業訓練等の能力開発機会を通じ、職業能力の向上が図られ、これによりその将来の職務上の地位や賃金をはじめとする処遇の改善が図られることをいう。以下同じ。)を支援するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成金を支給することにより、労働者の雇用の安定、処遇の改善を推進するものである。」とあります。
 一方で対象となる労働者の要件は、過去3年以内に当該事業所と請負もしくは委任の関係にあった者は正社員化コースの対象となる労働者から除かれており、制度の主旨との違和感があります。
 当該事業所に、労働者として採用されたうえは、事業所の指揮命令下により雇用される一労働者として等しく、職務経験や職業訓練等の能力開発機会を与えられ、職業能力の向上とその将来の職務上の地位や賃金をはじめとする処遇の改善が図られるべきであり、このような直接雇用前の就労形態により対象労働者から除かれることは、事業所の職業能力の開発の機会の意欲を削ぎ、均等な教育機会などの待遇の差を生むことにも繫がります。結果、一部の労働者の職業能力の開発機会の損失と当該事業所での職務上の地位や賃金など、将来の処遇にも影響を与える可能性があるため、対象労働者から請負もしくは委任の関係にあった者を除くとする要件の削除を求めます。

25.繁忙期での雇用保険取得届電子申請後の公文書発行のスピードアップを求めます。
 毎年4月の入退社が多い時期に、雇用保険取得の電子申請後、行政から発行される公文書にかなり時間がかかっています。(約1か月間)
 繁忙期で忙しいのは承知しておりますが、その時期には電子申請対応の人員を増やしていただくなどの対応をお願いします。

26.時間単位有給休暇の上限撤廃、もしくは上限の引き上げを求めます。
 時間単位有給休暇は、1時間から取得できるというメリットがあり、育児や介護に携わる労働者や今後益々進むであろうワークライフバランスに配慮した多様な働き方を望む労働者にとって、非常に使い勝手の良い制度になっています。
 現在は、時間単位有給休暇で取得できる上限が年5日と制限があります。
 丸一日休んでリフレッシュできるように、一日取得が原則という有給休暇制度当初の趣旨があるのは理解していますが、時代の変化とともに労働者の思考も変化してきており、時間単位有給休暇の上限撤廃もしくは上限の引き上げにより、有給休暇取得の利便性が上がると思われますので、検討をお願いします。

IV.技能実習制度及び特定技能制度等に関する要望

27.新たな育成就労制度は人材の確保と育成を目的とし、既存の技能実習制度、特定技能制度からも一貫性のある整合性の取れた制度とすることを求めます。
 技能実習生は、技能習得・育成を通して、小規模事業者等にとって大きな支えとなっています。その中で、技能実習制度において技能を修得した実習生が、特定技能へ移行することが認められていますが、現状、「技能実習制度では認められているが特定技能制度では認められていない」又は「特定技能制度で認められているとされてはいるものの特定技能制度での判断基準である産業分類と合致しないため、実質特定技能への移行は困難」といった事象が起きており、同一企業での就労を断念せざるをえない状況となっております。
 こういった状況が新たな制度では起きない様、育成就労制度や特定技能制度で採用されている産業分類・業務区分での判断だけにとらわれるのではなく、現行の技能実習制度で認められている職種に関しては、全て認められるよう柔軟に対応するとの文言等を加え、受け入れる企業や就労する外国人にとって明確であり、また、実務を行う各監督省庁の職員も明確に判断できる制度とすることを求めます。

28.受け入れ分野ごとに監督省庁の異なる特定技能手続きに関して申請窓口の一元化を求めます。
 現在は、特定技能制度において受入分野ごとで各監督省庁での手続きが必要となっています。それぞれの監督省庁ごとで対応が異なり、分野によって申請に要する期間や事務手続きの煩雑性が異なるため、受入れ分野ごとで大きな差異が生まれています。今後、日本で就労する外国人数の増加を見込んでいることも踏まえ、分野ごとでの申請格差を低減するために、集約一元化できる各監督省庁の外国人就労の認可部署を統合した部署を設けるなど、申請について大きな差異のない運用を求めます。

29.外国人技能実習機構の管轄範囲を特定技能制度も包摂し、受入れ、適切な監理を実施するよう求めます。
 現在、技能実習制度において、外国人技能実習機構が実地検査等、技能実習に関する検査や監督を行っていますが、特定技能制度に関しても、外国人材の保護や受入れに関する適切な監理を行うため、各省庁が分野ごとで行うのではなく、外国人技能実習機構の管轄範囲を拡大し特定技能外国人材に関しても適切な監理を行うことを求めます。

30.外国人の人権保護を確実なものとするため受入れ企業については事前許可制とすることを求めます。
 現在、技能実習制度の実習計画認定のながれは、まず受入企業が外国人材を採用し、採用後に外国人技能実習機構へ計画認定の申請を行い、認定後、実習を開始し、外国人技能実習機構は、おおよそ3年に一度の検査を行うことにより外国人の保護を行っていますが、受入企業の事前検査による許可制とし、採用するよりも前に職種・産業分野等の合致性、労働環境の確認等を行い、許可後に外国人材の採用が行える様にすることを求めます。

31.悪徳ブローカー排除の強化を図るため外国人材の来日に要する費用負担の明確化を求めます。
 母国における募集時のブローカーの排除を一層強化することと外国人材の来日に要する費用負担の上限に関し、一定の基準は設けられているものの様々な解釈がなされているため、日本語教育研修費用、寮費、申請費用等の負担額上限に該当するものに関して詳細を明示し、明確化することをを求めます。

32.年金の脱退一時金制度の計算期間の更なる延長を求めます。
 外国人材が帰国する際に脱退一時金制度を請求できることになっていますが、現状は5年までとなっており、外国人材の在留期間が長くなる中で、同一企業で継続して勤める予定の外国人材が一度退職した形で一時帰国することを希望することが増えており、入管法との整合性が取れていないため、期間を延長することを求めます。

33.日本における労働人口が減少する中、「日本に働きに来て頂く」という概念のもとで外国人材に対する多角的な支援策を講じることを求めます。
 コロナ禍において、各地方自治体は技能実習生の入国に際し、一部交通費等に関して助成が行われたように、今後も小規模事業者等が受入企業となる際には、外国人材を受け入れる際の入国費用の助成や地方企業から都市部への流出を防ぐような多角的な助成策を実施することを求めます。
 また今後、新たな制度の掲げる外国人に魅力のある「選ばれる国」になるためにも、諸外国の政府が取り組むように外国人材の日本語学習に関して、助成策も含めた政府のサポートと関与をを求めます。

V.金融政策に関する要望

34.金融庁の金融機関向け監督指針の改正に関して各金融機関への具体的実施に向けた管理監督の強化をを求めます。
 監督指針の改正案には、「資金繰り支援にとどまらない経営改善支援や事業再生支援等」について「先延ばしすることなく実施する必要がある」とありますが、この事により「貸し渋りや貸しはがし」が起こらないよう監理体制の強化を求めます。
 全国銀行協会に対しても中小零細企業の私的整理ガイドラインを改正し、抜本的な再生に必要な債務減免(銀行から見ると債権放棄)手続きを定める。そして改正で「金融機関が経営悪化の予兆を把握した段階で事業再生に踏み込めるようにする」とありますが、どのようにその事を担保するのか? それを実現する為の具体的な政策を求めます。

35.金利上昇による小規模事業者等及び住宅ローン利用者への支援策の策定と上昇時の速やかな支援策の実施を求めます。
 帝国データバンクが2023年1月に実施した「金利の上昇による企業への影響についてのアンケート結果」によると、今後金利が上昇した場合、自社の事業に「プラスの影響の方が大きい」と見込む企業は8.5%にとどまった一方、「マイナスの影響の方が大きい」は40.0%で最も高くなった。と、あります。
 利息負担の増加で企業収益が圧迫されるほか、家計における住宅ローン金利の負担が増加するなどのマイナスの影響が懸念されます。

36.過度な資産運用への誘導を是正し金融と経済のしくみに関する教育を強化した政策の推進を求めます。

37.民法改正に伴う成年年齢引き下げによるトラブル防止措置の強化を求めます。
 民法改正により、2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられました。成年年齢引き下げに伴い、NISA(少額投資非課税制度)の対象年齢も2023年からは18歳からに拡大されています。また、一部の金融機関ではクレジットカード契約も本人の意思だけで締結できるようになりました。このような中で発生する若年者のトラブル防止措置の更なる実施を求めます。

38.日本政策金融公庫、信用保証協会等の政府系金融機関と商工団体等支援機関との相互交流及び連携強化を求めます。
 政府系金融機関である日本政策金融公庫や信用保証協会は、民間金融機関が扱いづらい事案(創業融資、セーフティネット貸付等)を支援するという大きな役割があります。小規模事業者等に寄り添っている商工団体や会計事務所は、小規模事業者等の財務や事業活動への指導やアドバイスを行うことによって事業の継続や発展に寄与しています。
 しかしながら、民間金融機関では認められている面談時の同席や説明を、政府系金融機関は認めていません。以前は、融資のあっせん屋の排除という時代があったのは認識していますが、経済産業省の認定支援機関制度の創設等、事業者が外部の支援機関に経営について支援を依頼することは日常的になっています。事業者の求めにより面談時の同席と支援者による事業計画や財務報告の説明を認め事業者へのよりよい支援環境の整備へ舵を切ることを強く求めます。

39.経営者保証を不要とする融資の周知、拡大を求めます。
 事業性や財務内容を評価し経営者保証を不要とする事業性融資には「事業承継において、後継者が抱える不安の軽減」、「事業者の成長意欲が増し、赤字企業の減少や優良企業の増加を促す」、「スタートアップ企業が育ちにくい要因の解消」などの多くのメリットがあります。
 当団体の会員アンケートでは、法人の61.6%(代表者が60才以上の法人では47.3%)が後継者不在という結果がでております。小規模事業者等の廃業を防ぎ、日本経済を支える中小企業等を増やすためにも事業性融資の拡大は不可欠と考えます。また、過度な節税による赤字企業が存在する中で、企業を健全な財務状態に導くことが重要と捉えています。そこで、政府より金融機関に対し、「事業者との面談を通じてすべての事業者に対する制度の紹介」、「保証人を不要とすることで貸付金利を上げるなど、保証人の設定を条件とする融資に誘引することを控える」、「無保証人による融資実行に向けた経営指標の目標値の明示など具体的な説明の実施」など指導の徹底を求めます。

40.コロナ廃業を防ぐため様々な融資制度の周知徹底を求めます。
 資金繰りを支えた実質無利子、無担保のゼロゼロ融資は借り換えが本年4月で一巡しました。コロナウィルス発生当初に実行された融資の据置期間終了に伴い、返済負担増による倒産が増加しています。これら廃業を防ぐためにも借換融資による返済負担の軽減、リスケの実施、リスケ中の必要に応じた追加融資の実行を求めます。
 リスケについては新規の融資が借りづらくなることで踏み切ることができず、手遅れになってしまうケースが少なくありません。それらを防ぐために金融機関に対し、コロナ借換融資制度と新型コロナウィルス感染症特例リスケジュール支援の周知徹底と両制度に対する積極的な協力が得られるよう金融機関に対し指導の徹底を求めます。

41.金融機関の各種手続きにおける必要とされる公的証明書の有効期限の統一を求めます。
 相続時に必要な各種証明書の発行期限について金融機関でバラつきがあるため、統一性を持たせることを求めます。また、法定相続情報証明制度を活用した手続きの迅速化を図ることも合わせて求めます。

Ⅵ.デジタル化に関する要望

42.デジタルディバイドの解消を求めます。

① スマートフォンの無償貸与と端末代金補助の充実
② スマートフォン教室の拡充と講師の充実
③ 高齢者専用のスマホ設定及びアプリ開発
④ 中小企業支援団体への施策充実
⑤ デジタル化に対応できない高齢者・障害者等に対しては、あらゆる手続きにおいて電子申請の義務化ではなく書面申請の受付義務化とし、窓口でのサポートが継続的に行われることを求めます。

1.高齢者のデジタルディバイド問題
 令和5年度情報通信機器の利活用に関する世論調査において、スマートフォンやタブレットを利用している者の割合は70歳以上では5割弱で他の世代と比較するとインターネットに接する機会が未だ少ない者が多く、デジタル化が進む近年においてその恩恵を受けられない高齢者のデジタルディバイド問題が依然顕著となっています。デジタル活用支援推進事業や各自治体がデジタル化に向けた施策を推進するものの、それらの恩恵にあずかれないまたは地域による取り組み方の違いによる隔たりがあります。さらに高齢社会白書において高齢者世帯の所得階層別分布を見ると150~200万未満前後が多いため、インターネットのための端末購入が足かせとなり格差が解消できない要因となっています。そのため高齢者デジタルディバイド問題の解消に向けて、デジタル財団(仮称)を設立し、国を挙げてのさらなる対応の推進強化を要望します。

2.スマートフォンの無償貸与と端末代金補助の充実化
 令和4年通信利用動向調査においてスマートフォン保有率が70代(60%)、80代(27%)と70代と80代の間でかなり格差が生じています。そこでそれらの高齢者層を対象に①スマートフォンを通じてインターネットの利便性を実感してもらうよう一定期間の無償貸与及びスマホ教室の拡充を通じた使い方の理解促進を行う、②低所得者でも購入がし易いようにスマホ貸与及び教室参加者を対象とした推進端末代金補助制度の創設を求めます。

3.スマートフォン教室の拡充と講師の充実化
①韓国のオディナサポーターズに倣い、地域ごとに高齢者の気持ちがわかる世代(60~70歳程度)の定年退職後の人材を活用して講師として研修・教育を行い日常的にも身近で相談が出来る環境を整えること。
②上記の講師を活用して選挙投票会場・病院・ゲートボール会場・喫茶店・図書館・公民館など、あらゆる場所で対面式のスマートフォン教室を開催してスマートフォンの使い方の熟知とインターネットの利用を促進すること。
③教室でのプログラムはデジタル活用支援推進事業で行っている内容の他、LINE等でのコミュニケーション方法、YouTube等の動画視聴、通販サイトでの商品購入や日常的な買い物での活用、お薬手帳アプリなどを実体験し、高齢者が自ら興味の持てる内容の充実化を求めます。

4.高齢者専用のスマホ設定及びアプリ開発
①SNS等を通じて投資詐欺やロマンス詐欺等が警察庁の発表で今年1月から3月までの間で既に被害額219億円を超え前年比7.5倍に急増しています(参照https://www.fnn.jp/articles/-/700113)。特に50代以上の中高齢者層以上の被害が多いため、これからスマホを持とうとする高齢者にはいっそうハードルが高くなる要因となります。小さな子供同様、SNSやDMに機能制限(または使用不可)を初期設定とする高齢者向け端末及び防犯アプリ開発の推進と充実化に向けた施策を求めます。
②民間会社の調査結果(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1905.html)においてお薬手帳アプリの利用経験がある人は約47%となっています。しかし現状、アプリ開発やデータ保存先が乱立しており対応薬局ごとにアプリをインストールする必要があり、使い勝手が悪く不便です。e薬Link(イークスリンク)のサービスを通じて相互にお薬手帳アプリの内容を確認する手段があるものの利用者側としてはどれを使っていいか相変わらずわかりにくい状況です。高齢者層の医療や介護の充実化を進める意味でもお薬手帳のデータ一元化をすすめていただき、アプリの規格統一化を進めていただくことを求めます。

5.中小企業支援団体への施策充実化
 令和4年小規模企業白書においてデジタル化の取組段階を見ると従業員規模20人以下の小規模企業では未だ4割が紙や口頭でのアナログ作業が中心でデジタル化が遅れています。これらの小規模事業者の身近な存在である中小企業支援団体や税理士や社労士等の顧問士業がデジタル化に向けた支援策(Officeソフト等の使い方講座、会計や労務管理ソフトの導入支援及びそれらの電子データ共有による業務支援等)を行うことにより業務効率化を図ることが可能と考えられます。そのためにこれらの事業計画書の提出など一定条件のもとで支援団体の活動が円滑に行われるように補助金の充実化を求めます。

6.デジタル化に対応できない高齢者・障害者に対して
 スマートフォン等の利用促進はあくまでデジタルディバイドを解消するためであり、利用の強制を目的とするものではありません。高齢者自身がスマートフォンやインターネットに興味を持ち、その利便性を感じることにより、情報格差による弊害が可能な限り解消された社会の実現を求めます。また、身体的な能力によりデジタル化に対応できない高齢者・障害者については、行政手続きにおいても電子申請を義務化するのではなく書面申請も可能とし、窓口でのサポートが継続的に行われることを求めます。

*デジタルディバイド:情報通信技術(IT)(特にインターネット)の恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じる経済格差を指し、通常「情報格差」と訳される。

Ⅶ.その他事項に関する要望

43.宅地建物取引業法の一部改正を求めます。
 大手不動産業者との取引で媒介契約の書面を作成することなく口頭での依頼にとどめ、成立した場合に書面がないことを理由に支払いを拒否するケースが見受けられます。
 媒介業者が小規模事業者の場合、泣き寝入りを余儀なくされているのが現状です。
 このような優越的地位の乱用を取り締まることができる法律への改正を求めます。まずは、現状の実態を調査する事を強く求めます。

44.相続時における被相続人保有の郵便貯金について死亡解約時の現金引き渡しから相続人保有の銀行口座への直接振込システムの構築を求めます。
 現状、被相続人が郵便局に保有する貯金については、被相続人が死亡した後、相続人が総合口座を保有していない場合はいったん解約がなされ、相続人に対し、現金で渡すことになっています。これは、相続人にとって現金の搬送リスクが高く、犯罪に見舞われる可能性もあるため、相続時に限っては相続人が保有する銀行口座に上限なく振り込む手続きを構築することを求めます。

45.運送業等(トラック・タクシー)への燃料高騰時のサーチャージ制度の導入を求めます。
 安全運行の観点から航空業界のような基準を決め、燃料高騰時のサーチャージ制の導入を求めます。

46.建設業許可申請における事業承継制度(法人成り)について改善を求めます。
 個人建設業許可を個人で取得していた事業者が法人成りで許可の事業承継制度を利用する場合に社会保険の加入と許可の承継制度において矛盾が発生しています。個人許可を利用して事業譲渡日まで営業した場合、個人営業日に加入している建設国保に継続加入(法人設立後2週間以内の手続きが必要)することができなくなる現状を踏まえ許可申請事項の改善を求めます。

47.建設業許可申請における確認書類を7年へ短縮することを求めます。
 現在、建設業許可申請の際、専任技術者の資格確認において10年以上の実務経験を有する要件にて申請する場合、実務経験証明書に記載した期間(10年間)の契約書類(工事請負契約書・注文書・工事代金請求書等)及び入金確認書類(預貯金通帳写し等)の提出が必要となっています。所得税・法人税等の書類保管義務が最大7年でもあり10年間の保存が難しい状況です。県における建設業許可申請確認書類を7年に短縮することを求めます。

48.建設業許可通知書等の送付について委任状による委任者への送付を求めます。
 現在、建設業許可申請の承認によって建設業許可通知書及び申請書控えを県より申請者へ送付を行っていますが、委任状による委任者への送付が認められない県があります。
 全国統一して、委任者への送付が行われることを求めます。

49.測量業の登録業者減少に伴う改革改善を求めます。
 相続登記が義務化されましたが、地方のほうでは登記が50年間放置され、孫ひ孫の世代まで登記を経ずに相続が進んでしまうケースが多くなっています。測量業務が必要になるケースが多くあり、測量士の不足が深刻な状況にあります。
 測量業における登録業者数については、平成15年度末(14,750業者)をピークに19年連続で減少が続いており、令和5年度現在11,497業者となっております。
 少子高齢化の影響や公共工事の減少により、廃業が増加している現状ですが、国内において必要不可欠な業務であり、登録業者の増加につながる制度改革を求めます。

50.戸籍広域交付制度の利用において郵送手続き及び資格者代理人による請求が行える制度緩和措置を求めます。
 戸籍広域交付制度は、令和6年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍などを請求できるようになりましたが、同制度を利用して請求できるのは本人に限定されており、本人が直接市区町村の戸籍窓口へ出向いて請求する必要があります。
 国民の利用改善のため、郵送手続き及び弁護士、司法書士、行政書士等資格者への委任による交付請求手続きの緩和措置を求めます。

51.円安、原油価格高騰等により小規模事業の等へのしわ寄せを防止するための監視強化と実態調査及び対策の実施を求めます。
 材料高騰等の影響を受けた下請け事業者へ適切に価格が転嫁されているのか実態調査と監視強化を求めます。

52.再生可能エネルギーの発電制御をすることのない対策の実施を求めます。
 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを利用した発電は、天候に左右されやすく不安定な発電エネルギーであることは承知するところでありますが、昨今の温暖化は予想を上回るスピードで進んでいます。2021年10月22日、地球温暖化対策計画が閣議決定された計画では2030年度においての温室効果ガス46%削減(2013年度比)であるにもかかわらず、現状では既にある太陽光発電施設でさえ発電能力を制御している状況と聞きます。安定供給の観点から再生可能エネルギーを最大限に活用することについては課題があることは承知していますが、本気で予算を付け推進することで技術革新がおこり、不可能だといわれている目標を実現できると考えます。再生可能エネルギーを制御することのない十分な対策の検討と実施を求めます。

*障害:「障害」という言葉が持つ否定的な印象に対する配慮の必要性を認識しています。そのため、状況に応じて「障がい」などの代替表記を使用することもあります。しかし、本要望書においては、標準的な表記である「障害」を使用することといたします。